朱川湊人『黒のコスモス団』儚いひとびと

朱川湊人『黒のコスモス少女団』

黒のコスモス少女団 薄紅雪華紋様

• 作者: 朱川 湊人
• 出版社/メーカー: 集英社
• 発売日: 2015/10/26
• メディア: 単行本

 

絵描きを目指す槇島風波は不思議な友人、穂村江雪華と付き合うようになってから、怪異が身近になってゆく。しかしそんな妖の周りにも、常に儚い人々が…短編６編収録。

 

”鏡の偽乙女”の続編。前作より妖のテイストは薄くなっていますが、断然面白くなっています。なんといってもキャラクターが非常に魅力的。どのエピソードにも個性的なキャラクターが出てきて、時につかみどころが無かったり強烈だったりするのに、物語全体に儚い雰囲気が流れているのが特徴です。

表題作は最初は劇画的な、ともすれば滑稽な印象になりそうなのに、何故か寂しい。物語が進むとその正体が明らかになりますが、それが描かれる前からそういう空気が漂っているのが不思議です。さらに強烈な印象の、コメディリリーフのようなキャラクターが迎える運命も驚きでしたが、しかしそうなるであろうと思えるものでもありました。

意外性があって面白いけれど、そのキャラクターがそう動くことに納得できるので嫌味にならない。シリーズまだ続きそうなので期待します。