江戸川乱歩『影男』地底のパノラマ国に行きたい… [本]
江戸川乱歩『影男』
幾つもの名前を持つ正体の無い異常な天才影男が、人間の裏側に次々と迫る。暴かれる奇怪な犯罪たち。名探偵明智小五郎はその猟奇の宴をとめられるのか…
正体不明の快楽追及者、影男がおもむくまま奇怪な事件に接していく話です。唐突な慈善事業から残虐な殺人までバラエティに富んだ内容となっています。特に中盤以降登場する地底のパノラマ国のイメージは素晴らしい。
乱歩作品には良く登場するパノラマ国。”パノラマ島奇談”よりも”地獄風景”よりも、この作品の楽園が私は一番好きです。女体で構成された海、山、森、渓谷。むせ返る匂い。目前にせまるうぶ毛。あぁン、誰か映像化してくれ!つーかアトラク化してくれ!そうとう、金、出す!
そういった影男が触れる事件は面白いのですが、後半は影男から視点がブレてしまい、ちょっと残念でした。またしても収集がつかなくなった物語にケリつけるために明智が出てくるし。明智、乱歩の便利屋ですね。
この作品は戦後に書かれたそうで、つまり少年探偵団シリーズをメインで書いている裏でこれを書いていた、と。だから大好き、乱歩!
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