上遠野浩平『しずるさんと無言の姫君たち』権力って… [本]
奇怪な事件に真っ当な解答。病院から一歩も出れないしずるさんが安楽椅子探偵として活躍するシリーズ第3弾。
上遠野浩平『しずるさんと無言の姫君たち』
しずるさんと無言の姫君たち―The Silent Princess In The Unprincipled Tales (富士見ミステリー文庫)
- 作者: 上遠野 浩平
- 出版社/メーカー: 富士見書房
- 発売日: 2006/12
- メディア: 文庫
奇怪で美しい死体たちの謎を解くしずるちゃんとよーちゃん。短編4編収録。
しずるさんと白雪姫:雪山で発見された死体はあまりに美しかった。そう、まるで雪山に立ち入れる格好ではなく…
謎そのものではなく、そう思い込んでいる見解のほうを解体するしずるさん。言われてみればその通り、謎でもなんでもない話なのですが、なんだか拍子抜け。
しずるさんと人魚姫:寂しい海辺の公園で発見された切断死体。それはまるで尾びれをなくした人魚姫のようで…
ううーん、そういうことって起こりえるのかなー?この解答はちょっと無理くさすぎますね。
しずるさんと眠り姫:多くの人が見ている中でいつの間にか死んでいたニューハーフの男。その異常な体温低下が語るものは…
謎に対して権力と言う、ブラックボックスで隠してしまうのがかなり残念。もうちょっとはっきり解答してほしかったです。
しずるさんと赫夜姫:竹林の中で発見された串刺しの女。しかもあっという間にその姿は消えてしまう・・・
奇怪さは図抜けていますが、謎自体は非常に道理が通っている。ってゆーか予想できました。ちなみに赫夜姫はかぐや姫のことです。
以上4編。全ての物語でその死体のモチーフとなる童話に独特の見解を加えたり、ちょっとしずるさんのアクの強さが目立ちます。このシリーズはしずるさんとよーちゃんの微妙な関係も魅力なのですが、しずるさんが理の一部とでも言うようなセカイ系の雰囲気があったり、よーちゃんのほうが危うさを孕んでいたり、気にはなるのですが結局あんまり突っ込まない。なんだか中途半端な感じでした。
記事が気に入った方はココをクリックしてください。ランキングされます。
コメント 0