石原慎太郎『太陽の季節』(スーフリの)慎太郎さんだよ [本]
いまさら。
石原慎太郎『太陽の季節』
太陽の季節:竜哉と英子の、互いに残酷な青春の恋。
慎太郎はこの作品で芥川賞を受賞。特にどうというところのない青春小説。会話文がさすがに時代を感じさせますが。
処刑の部屋:苛立ちから仲間を裏切り、さらに裏切った相手にも喧嘩を売った克己に残酷なリンチが加えられる…
睡眠薬レイピストがリンチされる話です。スパーフリーさもありなん、ですな。当時の慎太郎の周りってこんなんだったの?怖い!今の慎太郎も怖いけど、当時もお近づきにはなりたくない!
完全な遊戯:礼次と武井が拾った女は精神病院から出てきた女だった。そこから数日間、残虐な宴が続く…
精神を病んだ女をさらい、輪姦し、売り払い、最後に殺す話です。他意ないけどこれを書いた人が都知事って東京都民器でけー!
ファンキー・ジャップ:狂気の才を持つジャズピアニスト・マキーの奏でるビ・バップ。
ジャズ小説。全編詩が垂れ流し。似たような構成の話が中島らもでもあった気がしましたが、やっぱり時代ゆえかこっちはちょっと酸っぱいです。
乾いた花:村木は鉄火場で出会った美少女・冴子に、自分と同じ気持ちで博打に向かう意志を見る…
博打を求める美少女。それに惹かる刑務所帰りの男。慎太郎流萌キャラです。途中警察の目を逃れる為二人で一つの布団を共にするシーンもあり、慎太郎の意外なまでの分かってる感にびっくり。
以上、5編。あとがきで慎太郎自身が「作品の印象はほとんど現代とずれていないと思う」と言うとおり、言葉遣いはさすがに古いですが、現代風俗と異常なまでの共通点が見れます。…だからって訳じゃないけどさ、現代少年が犯罪を起せばすぐ単純にゲーム・アニメのせいになるように。かつて猟奇殺人が起こると”犯人は江戸川乱歩”という投書があったように。スーフリやペッパーランチ事件の時、犯人の本棚にこの作品が並んでたりしないのかな、と。
ちなみにお話の出来自体はやはり新人だっただけあってそんなに上手ではないと思います。
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