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江戸川乱歩『青銅の魔人』意外!それは戦争ッ!! [本]

先日(5/16)放送の”その時歴史が動いた”で江戸川乱歩が取り上げられていたのですが、戦争を挟んだ変化について、この作品や”偉大なる夢”あたりが紹介されなかったのがちょっと残念。あと森村誠一の一般論みたいな話が余計。

少年探偵団シリーズ5作目。

江戸川乱歩『青銅の魔人』

青銅の魔人

青銅の魔人

  • 作者: 江戸川 乱歩
  • 出版社/メーカー: ポプラ社
  • 発売日: 2005/02
  • メディア: 単行本

歯車の音を響かせながら青銅の魔人が次々と時計を奪ってゆく!明智小五郎の目の前で予告どおり秘宝の時計を奪い消え去った魔人、果たしてその正体は!?

まぁ、二十面相ですけどね。青銅の魔人の正体。そりゃそうですよ。それはさておき二十面相といえば少年…特に小林君に対して異常な愛情を示すことでおなじみ。捕まえてきては食事を振舞うシーンがいったい何回描かれたことでしょうか。

ところがシリーズ前半の作品では二十面相はそれほど小林君に興味を示していないんですよ。で、いったい何時、何ゆえ恋が始まったのかと気にはなっていたのですが、それがこの本で明らかになりました。その原因は意外。戦争でした。

戦時中は探偵小説が描けなかったのはご存知の方も多いとおもいますが、乱歩も多分に漏れず。前作”大金塊”とこの本の間は終戦を挟み実に10年のブランクがあったそうです。

物語の中の時間もその通りで、明智の口から”妖怪博士”(※1)以来、二十面相とは久しぶりの再会だと語られます。二十面相が戦争に行ったかどうかは明言されていませんが、戦時中は犯罪を行っていなかったらしく、この間に二十面相がなんらかの心理的ショックを受け少年愛に目覚めてしまったと推測されます。

この話ではちゃんと小林君と暮らす目的で誘拐もしています。ほっとしました。

戦争は人の心にいろいろな形の傷を残すのです。稀代の犯罪者の道化な恋の裏にも、そんな悲しい事情があったのです。

※1 妖怪博士:シリーズ3作目。ちなみに4作目の”大金塊”には二十面相は出てこない。

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