岡本綺堂『半七捕物帳1』良質の箸休め本 [本]
岡本綺堂『半七捕物帳1』
江戸の末期を舞台に岡っ引き”半七”の活躍を描く短編集。1話あたりは30P程度ながら1巻にはなんと14編収録。
非常に読みやすく面白いです。この時代の風俗も分かるし、いかにも江戸っ子調の会話も小気味よい。全体的にちょっとおどろおどろしい事件が多く、その裏に隠された真実を半七が解き明かすパターンです。
ただ、さすが江戸時代というか。証拠とか全然必要なし。ちょっと怪しいと思ったらバンバン脅しをかけて自白させます。犯人も犯人で、つつかれればすぐ白状しちゃう。この時代はそういうものなのか?
またとにかく家の名前に傷がつくことが恐れられ、なんだったら犯人を追い詰めて自殺させた方いいみたいな考えがあります。本当かな。
半七も実はキャラがあまりハッキリしないし、出てくる人物は似たような造形ばっかりです。事件だって犬も歩けば棒に百発百中。半七が捜査に乗り出すと向こうから偶然事件の関係者がよってくる。そしてあっという間に解決してしまいます。
解決のカタルシスよりも事件そのものの面白さと会話のテンポが楽しい作品。そう割り切れば、ちょっと小難しい本を読んで疲れた合間なんかには最適です。飽きずにたっぷり楽しめるのでコストパフォーマンスがいい本ですね。
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