『魔女の薬草箱』自然の生み出す死を呼ぶもの [本]
宮崎アニメが大好きです。『魔女の宅急便』で一番印象的なのは、トンボに魔女ってどうやって飛ぶかと問われたキキが答えるシーン。
「血で飛ぶの」
抑えたトーンの演技と相まって、少女のキキが全編通して唯一魔女らしい、恐ろしさを感じさせるシーンでした。
ところが歴史の魔女は薬草で飛ぶそうです。
西村佑子『魔女の薬草箱』
化学が発達する以前ドイツに存在した魔女…薬草の知識に長けた”賢い女”、彼女達が用いた薬草、あるいは宗教的背景の下、魔女として裁かれた際、用いたとされる薬草について解説した書です。
自然界にこれほど多く、強烈な効果を持つ植物が存在することにいまさらながら驚かされます。まさに自然は大きな薬箱。ただし分類がされておらず、手の届くところに恐るべき効果のものが存在する場合もあるパンドラの箱ですが。
不謹慎な話ですが、私は毒の話って好きですね。以前はもっと直接的な猟奇を好んでいたのですが、最近は毒がアツいです。バラバラ殺人とかナンセンスだぜ。
例えばこの本に出てくるベラドンナという植物。瞳孔を開かせ、瞳を輝かいているようにみせる効果があるそうです。
ここまで読んでかつてこれを利用し、死亡時瞳孔が収縮する毒物を使い、死体にベラドンナを用いて瞳孔を開かせるトリックの殺人事件があったことを思い出しました。ベラドンナという植物自体に強い死のイメージがあるのも面白い。
閑話休題。薬草の効用に伴う信仰や伝説が発展していくのもとても興味深い。好奇心を刺激される本です。
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