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江戸川乱歩『ペテン師と空気男』ジョークっていうか? [本]

江戸川乱歩『ペテン師と空気男』

ペテン師と空気男

ペテン師と空気男

  • 作者: 江戸川 乱歩
  • 出版社/メーカー: 春陽堂書店
  • 発売日: 1987/07
  • メディア: 文庫
表題作ほか4編収録。
ペテン師と空気男:なんでもすぐに忘れてしまい空気みたいに頼りないことから”空気男”と呼ばれる私が出会った奇妙な男。その男はプラクティカル・ジョークの天才で、人を煙に巻いては楽しむことを趣味にしていた。退廃的な趣味に興じる私は、いつしか自身もジョークの罠に取り込まれていく……
ジョークと言えば聞こえがいいが、実際はタチもセンスも悪い”いたずら”です。乱歩作品にはこういうジョークをする人物って多々出てきますよね。だから基本くだらないし大したことありません。ただし妙な味があります。中盤以降の”赤い部屋(※1)”みたいな雰囲気もさることながら、何事も暖簾に腕押し…一時を過ぎれば情熱さえも忘れてしまう”空気男”のキャラが面白い。
堀越捜査一課長殿:警視庁捜査一課堀越の元に届けられた手記。それは数年前迷宮入りした事件の真相を語るものだった……
完璧な変装をして犯罪をやり遂げた、ただそれだけの話。特に面白いところもないです。
防空壕:焼夷弾が降り注ぐ中、防空壕の中で美しい女と一夜を共にした男。その女がどうしても忘れられず捜し歩くが見つからない。果たして女の意外な正体は……
今なら”つり橋効果(※2)”なども広く知られるようになったので、このオチも結構受け入れられるのかな?生と性と死の隣り合わせ、彼岸の魅力みたいなものもあるのかもしれませんが…でも気付けよ!
妻に失恋した男:妻が自分を愛していないと妄信する男が自殺した。刑事は何故かその事件が気になり、捜査を始める……
タイトルが一番面白く、中身はまるで子供向けのトリックです。
:手首を失ったピアニストに対し、友人の医師は指は無事だと嘘をついたが……
怪奇小説短編。まぁどこにでもありそうな話。
以上5編。どれもこれも小物ぞろい、ちょっと弱い。まぁ”防空壕”はインパクトは強いですが。ただしタイトルだけはどれも素晴らしいです。
※1 赤い部屋:江戸川乱歩の小説。真っ赤に彩られた部屋で罪にならない犯罪を自白する男の話。でも現実では罪になると思う。
※2 つり橋効果:つり橋を渡るドキドキと恋のドキドキを混同してしまう心理作用のこと。映画スピードで「異常な状況で結ばれると長続きしない」って台詞があったけど、要はこれにより恋と死の興奮を混同してるからなのだと思う。
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