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高橋克彦『降魔王』展開早っ! [本]

呪術とか好きだから。

高橋克彦『降魔王』

降魔王

降魔王

  • 作者: 高橋 克彦
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2001/12
  • メディア: 文庫

怨霊と宇宙生物、殺人事件に暗躍する企業。おまけに怪しいコミューンまで絡めたなんとも贅沢な作品。小説です。

TVの生中継中に大物政治家が殺害された。しかしそのニュースを見ていた万梨子が目を奪われたのはその場に居合わせた奇妙な男のほう。男が胸元にもったは、3年前彼女たちが巻き込まれた恐ろしい事件で遭遇したものだった。万梨子はかつて一緒に戦った眠り男・剣をたずねる。そして剣は、人心を操る奇怪な存在との対決へ導かれていく……

おもしろいです。私は元々呪術とか好き。この物語は実在の人物の怨霊や各地に伝わる伝承なんかを背景にしています。その辺京極堂(※1)と似てるかも。違うのはこっちのほうが断然テンポが速いところと実際にこの世に不思議なことがあるところでしょうか。

京極堂は薀蓄がクソ長いので有名ですが、同じような役割をする剣の薀蓄は短い。その分読みやすいけどちょっと説得力が弱いかも。

物語的にもなにかの存在が示されたかと思ったら次のページにはすぐそれが出てくる。ためがないけどテンポは超高速です。

一つ、注意しなければならないのはこの本どうやら同じ作者の『蒼夜叉』という作品の続編らしいです。私は気づくのが遅かったのでそのまま読んでしまいましたがちゃんと順番どおりに読んだほうがよさそうです。

と、いうのは前作の敵役がおもいっきり活躍します。ジャンプ漫画よろしく、戦いを通じて主人公と分かり合ったらしく、何から何まで恐ろしく頼りになるやつでした。どうやらごっそり殺しているらしいのですが、続編だけ読んでるとただの頼れる奴。

同様に登場人物たちのキャラクターの書き込みもあまりありません。主人公は一体どんな力を持っているのかさっぱり。別に強いわけでも特殊な力があるわけにも見えなかったけど、怪異と対峙したときどうするつもりだったんだろう。女性キャラたちもほとんど魅力が出てませんでした。

それでもとにかくすらすら読める肩のこらない作品です。ただラスボスがそれほど大した奴ではないので『降魔王』は言いすぎ。ちなみに作中に出てくる怨霊、別の書物では天狗になってるとの記載がありました。いやー怨霊も大変ですね。

※1 京極堂:京極夏彦著の小説の主人公。怪奇な事件に横行する妖怪、それを憑き物落とし…怪異のもとを解体することで怪異を怪異ではなくする陰陽師、京極堂の活躍を描いた小説。それはもう、鈍器くらい厚い本で有名。

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コメント 1

ぬっし~

実はおいらも、たまたま買った順番がこっちが先だったためこっちを先に読んだ。ま、後付でなるほどなって思えばいいじゃない?っていうポジティブシンキングで!
by ぬっし~ (2006-08-28 22:30) 

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