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『夕凪の街 桜の国』あの街の話 [漫画]

どうしても戦争の話が苦手です。高校の修学旅行で広島に行って以来、どうにも、自分は部外者な気がするからです。本当は何も知らないのに。いくら人の話を聞こうが、実際体験していない自分は結局何にもわかってないんじゃないか。なんつーか、意見する資格も無いような気になってしまう。
でも、そうじゃないのかも知れない。意見しなくても知ること自体に意味があるのかも。そんな事を考えさせてくれる本。『夕凪の街 桜の国』
夕凪の街桜の国

夕凪の街桜の国

  • 作者: こうの 史代
  • 出版社/メーカー: 双葉社
  • 発売日: 2004/10
  • メディア: 単行本
ダヴィンチなんかで沢山取り上げられたので、タイトルを聞いたことある人は多いと思います。でも、実際読んだことある人は少ないんじゃないかなぁ。あんまり、売っているところは見ないし。これ、漫画です。
原爆が落ちた時、広島にいたある家族の、あの時と今の物語です。とても優しい絵で絵が描かれる物語は、しかし優しいばかりではありません。
最初の話は、終戦後の広島の物語。そこで生活する一人の女性の日常。その中に差し込んでくる影。
彼女は誰かに「死ねばいい」と思われた人間です。そして、生き延びた人間です。まるでつぼみをつけたまま、咲かずにかれた花のような、そんな悲しみを覚える話です。
そして今。その場にいなかった人の身体に、心に、焼きついているもの。それらが現代に生きる彼女の目を通して描かれます。
作者はこうの史代さん。あとがきで、私が感じている違和感のようなものについて触れており、びっくりしました。だからそういうものを感じている人には是非読んで欲しいと思います。
 
あと、とても大切なことですが、この本、漫画としてもとても面白いです。登場人物たちがいきいきとしていて、魅力的です。
 
ガーンとハンマーの一撃で、心を砕く本ではありませんが、ゆっくりゆっくり染み込んで、いつしか痕が残るような、そんな本です。評判もうなずけるものだと思います。

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hiroshi

こんにちは。
コメントありがとうございました!

私は今、広島にすんでいます。
私も偉そうなことを言える立場ではないですが、同じく"意見しなくても知ること自体に意味がある"と思っています。
実際に体験した被爆者の方々の高齢化によって、「知っている人」や「語り継ぐ人」が少なくなっていることが、今後の一番の問題だそうです。
このような本を通じてでも、一人でも多くの知ってほしいですね!

また、遊びに来させてもらいまーす!
by hiroshi (2006-03-01 13:32) 

けんたろう

>hiroshiさんありがとうございます。
メガネ談義のコメントしておいて、こんな記事ですみません。
これからは『常に心にセルフレーム』をモットーにしますので、
今後ともよろしくおねがいします。
by けんたろう (2006-03-01 19:56) 

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