氷室冴子『なんて素敵にジャパネスク』雅、雅にFuck or Die [本]
ドラマの中休み。来客者減ってますね。
氷室冴子『なんて素敵にジャパネスク』
時は平安。大納言家の瑠璃姫は花も盛りのお年頃。しかし初恋の君が忘れられず、結婚する気はさっぱり。だけど乙女心が無いわけではありません。超行動派のお姫様の目を通し、雅な平安文化を軽快な一人称で描く小説です。
これは……この本は3話収録されているのですが、第1話が掲載されたのは1981年だそうです。25年前。ですが……抜群に面白い。なんだこりゃ。
コバルト文庫ということで少女向け、おっさんの身では敬遠していましたが、いや確かに少女向けなんだろうけどものすごく面白いです。
平安を舞台って、なんとなくもったりしたイメージがあったんですよね。やれ宴だ歌会だ、形式が多くって。男と女もめったに出会わないだろうし。そりゃそうなんです。実際この本にも歌なんていっぱい出てくるし。
ところがこの時代、逆に言えばそれでなびかなきゃ”既成事実”…やったもん勝ちもまかり通っており。第1話ではいきなり父親の手引きで夜這いされそうになるし。ブラボー夜這い文化。
それに死ぬ。死と隣り合わせの時代でもあるんですよね。医療発達していないから。瑠璃姫の初恋の君も死んでます。流行病であっさりと。
だもんで物語に緊張感があるし、現代を舞台にするとうそ臭かったりやりすぎだったりする”Fuck or Die”が極自然になる。そりゃおもしろいですよ。雅な世界に超行動派の瑠璃姫のキャラも際立ちます。3話では何とか初夜を迎えるために大奮戦。すげぇな。ストレートで。
また語り口が抜群のテンポ。難しい文化や役職なんかの説明は簡略で、勉強にはならないかもしれませんが、それが邪魔になることはありません。
ストーリー自体は現実の古典にありそうな話。3話はかなりアクション編ですが、それでも大元になる陰謀はよく聞く類のものですし。
絶体絶命のピンチに皇子さまが馬にのって助けに来てくれるなんて思いっきりベタな場面もあるのですが、あまりに軽妙な語り口におっさんでさえ乙女心がときめく始末でした。
すごくおもしろいので敬遠している人にもオススメです。ただこれシリーズ、漫画になってたり、すっごくいっぱい種類があるようです。読破するのは大変そう。
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ジャパネスク、私も大好きですよ〜。イラストは新装版で変わってしまいましたが、一番最初に出版された時の峯村良子さんが好きでした...。ムードがあるイラストで、ああいうイラストって最近のライトノベルにはないなあって。
氷室冴子さん、今は書いてないのが残念です。
是非続きも読んでまた記事書いて下さいね☆なんか懐かしくなります。
by ゆん (2006-09-23 00:40)
>ゆんさま
ありがとうございます。私が手に取った本も峯村良子さんのイラストでした。図書館で借りたものなので。
この本を読んで世界が狭かった自分を猛省、早速女の子の友達にコバルト系のオススメを聞いてきました。読み次第、記事にします。
by けんたろう (2006-09-24 01:18)
はじめまして!
ジャパネスク大好きでしたね~。高校時代、先生にすすめられて読みました(笑) 先生としては「とりあえず古典に興味をもってくれ~」な気持ちだったんでしょうが・・・みごとに乗せられました。。。
同じく氷室さんの「ざ・ちぇんじ」とかその原作の「とりかえばや」とか読み漁りましたよ~~
by mori (2006-09-24 20:52)
>もりさま
コメントありがとうございます。私もこれでようやく古典のおもしろさに気がつきました。
by けんたろう (2006-09-25 09:13)
はじめまして!
大好きでした。ジャパネスクも『ざ・ちぇんじ』も。
氷室冴子さんの作品はすべて読みましたが・・・。
今はどうしているんでしょうね・・・。
『蒼の迷宮』の後編とかどうなってるんだろう??
by ♪あけみ♪ (2006-10-19 15:09)
>♪あけみ♪さんいらしゃいませ。
氷室作品、私はまだ『ジャパネスク』のみ。現在3巻を読書中です。読んだら記事にしますので、また来てください。
by けんたろう (2006-10-20 00:53)